老人ホーム紹介の仕事をしていると、ご家族からよく聞く言葉があります。
「施設に入れるなんて…なんか悪いことしてるみたいで」
実はこの気持ち、ほとんどの方が感じています。
でもこの罪悪感って、もともとは 親を本当に大切に思っているからこそ生まれる感情 なんですよね。
ここでは、皆さんがよく抱える罪悪感の理由と、その裏にある優しさについてお話しします。
①親は子供が見るべきという思い
日本には昔から、家族が介護を担うという価値観があります。
その影響もあって、
自分がやらなければならない
家族がみるのが当たり前
と感じてしまう方が多いです。
でも実際の介護は、24時間×365日。
ひとりで背負うことを前提にした仕組みではありません。
しんどくなるのは、あなたが弱いからじゃなくて、介護そのものが重たいからなんです。
②辛くなっていることへの申し訳ない気持ち
親が頑張って育ててくれた姿を覚えているからこそ、
「もっと自分が頑張れるんちゃうか」
と自分を責めてしまう方もいます。
でもそれは、親への感謝と愛情が強いからこそ苦しくなるだけのこと。
決して、放棄したいわけでも、手放したいわけでもないんですよね。
③親が嫌がるかもしれないという想像の痛み
「施設に入ったら寂しい思いをするんじゃないか」「嫌がるんじゃないか」
そんな想像が胸を締めつけてしまうこともあります。
でも実際には、入居して生活が安定すると表情が明るくなる方が多いのも現実です。
ご家族からも「もっと早く入れてあげればよかった」という声もよく聞きます。
④親族や周りの目がきになる
「なんで施設に入れるの」「まだ家でみれるんちゃう」そんな声が届くと、さらに苦しくなります。
でも本当に介護の現実を知っているのは、一番近くで支えてきた“あなた” です。
判断できるのも、覚悟を持って決めたのも、あなた。
周りの言葉より、あなたが見てきた現実のほうがずっと確かです。
⑤限界を感じた自分への悔しさ
「自分が弱いからや」「もっと頑張れたはず」そんな風に感じてしまう方もいます。
でもそれは違います。
あなたはできないんじゃなくて、そもそもひとりで背負う設計じゃない介護を、必死に頑張りすぎただけ。
その頑張りは、ちゃんと親御さんにも伝わっています。
たくさんのご家族を見てきて、いつも思います。
罪悪感を抱える人ほど、本気で親のことを想っている人 ばかりです。
そして施設入居の決断は、投げ出すんじゃなくて、親の生活を守るために覚悟して選んだ選択。
どうかそのことだけは忘れないでください。
もしあなたが今、
「罪悪感で押しつぶされそう」「この決断で本当に良かったんかな」
と苦しんでいるなら、いつでも相談してください。
ご本人の気持ち、ご家族の気持ち、その両方に寄り添いながら、
一緒に正しい選択をつくっていけたらと思っています。